Japanese
English
今月の主題 上部消化管感染症—最近の話題を含めて
症例アトラス
感染性食道炎
サイトメガロウイルス食道炎
Cytomegalovirus Esophagitis
髙雄 暁成
1
,
藤原 崇
2
,
堀口 慎一郎
3
,
前田 有紀
4
,
小泉 浩一
1
,
今村 顕史
5
,
門馬 久美子
4
Akinari Takao
1
1がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科
2藤原胃腸科内科
3がん・感染症センター都立駒込病院病理科
4がん・感染症センター都立駒込病院内視鏡科
5がん・感染症センター都立駒込病院感染症科
キーワード:
サイトメガロウイルス食道炎
,
感染性食道炎
,
HIV
,
免疫抑制状態
,
ヘルペス食道炎
Keyword:
サイトメガロウイルス食道炎
,
感染性食道炎
,
HIV
,
免疫抑制状態
,
ヘルペス食道炎
pp.1605-1608
発行日 2019年11月25日
Published Date 2019/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403201877
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疾患の概念と最近の動向
サイトメガロウイルス(cytomegalovirus;CMV)はヘルペスウイルス科に属するウイルスで,通常は幼少期に感染し,初感染後は不顕性感染の経過をたどり,多くの場合は潜伏感染の状態を維持する.しかし,悪性腫瘍,ステロイド使用者,HIV(human immunodeficiency virus)感染症,骨髄移植後などの免疫抑制状態の患者においては,潜伏感染の再活性化が引き起こされる.まれに健常人での発症もみられる1).食道,胃,大腸などの消化管にびらんや潰瘍性の病変を来す他,肺・網膜・中枢神経にも病変を来す.食道炎は主にCD4(cluster of differentiation)値が100/μl以下に低下したHIV感染者で好発する.
近年,先進国において治療法・治療薬の進歩に伴いHIV感染症のマネージメントが向上している.抗HIV治療薬の副作用が強い時期は治療の開始が遅かったが,現在はCD4値にかかわらずに治療を開始することが推奨されている.米国保健福祉省(United States Department of Health and Human Services;DHHS)のガイドラインでは,2017年よりHIVの診断と同時に抗レトロウイルス療法(anti-retroviral therapy;ART)開始が推奨されており,世界的には感染が判明次第,可及的速やかに治療を開始することが推奨されている.
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