シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Application編
サイトメガロウイルス
柴田 元博
1
Motohiro SHIBATA
1
1社会保険中京病院小児科
キーワード:
PCR法
,
CMV抗原血症
,
易感染宿主
Keyword:
PCR法
,
CMV抗原血症
,
易感染宿主
pp.959-963
発行日 1996年8月15日
Published Date 1996/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903003
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
サイトメガロウイルス(CMV)は,ヘルペスウイルス科に属するDNAウイルスである.日本人では成人の90%以上がCMVに既感染である(抗体を保有している)が,通常CMV感染(CMV infection)は無症状に終わり(不顕性感染),症候性感染すなわちCMV感染症(CMV disease)として問題となることは多くなかった.CMV感染症が臨床上注目を集めるようになったのは,易感染宿主の増加に伴ってである.
骨髄移植をはじめとして臓器移植が広く行われるようになり,また一方でエイズ患者や強力な化学療法を受けている癌患者らの易感染宿主が増加し,CMVが病原性を発揮するようになった.易感染宿主におけるCMV感染症はしばしば致命的となるが,ガンシクロビル★などの抗ウイルス剤が使用できるようになり,早期診断・早期治療が臨床上重要な課題となっている.本稿ではCMV感染症の診断に用いられる検査法,診断を行ううえでの問題点を概説し,その中で遺伝子診断をどう位置づけていくかについて解説を加えたい.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.