Japanese
English
今月の主題 大腸鋸歯状病変の取り扱い
序説
大腸鋸歯状病変の取り扱い
Introduction
菅井 有
1
Tamotsu Sugai
1
1岩手医科大学医学部病理診断学講座
キーワード:
鋸歯状病変
,
SSA/P
,
分子異常
Keyword:
鋸歯状病変
,
SSA/P
,
分子異常
pp.1633-1634
発行日 2015年12月25日
Published Date 2015/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403200487
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本特集のタイトルは“大腸鋸歯状病変の取り扱い”である.本誌では過去にも鋸歯状病変の企画をしたことがあるが,今回の企画は“取り扱い”に関するものである.“取り扱い”と言えば“何かの扱い方”の語感が強いが,本特集がそのような狭い意味に限定したものではないことはもちろんのことである.本特集の企画の真意は,大腸鋸歯状病変を臨床の現場で扱う場合に当然知っておくべき知見を現在の最高水準のレベルで読者に提供することであるので,単なる“how to”ものなどではないことは当然である.
本特集では内視鏡診断はもちろん病理学的診断や分子機序における現時点での最新知見を示すが,加えて最近のトピックス,特にinverted SSA/P(sessile serrated adenoma/polyp)や鋸歯状病変の左右差などについても述べられている.特に後者については鋸歯状病変の取り扱いに関して重要な知見を示唆するものである.大腸癌研究会プロジェクト研究で提案されたSSA/Pの特徴的組織像は,①陰窩の拡張像,②陰窩の異常分岐像,③腺底部の異常拡張・走行異常である1)2)が,筆者はこれまでこれらの組み合わせが右側と左側では異なっている可能性を指摘してきた.本特集ではそれについて組織像のみならず,分子異常の観点からも両者の違いを基礎づける所見が提示されている3).もしこのことが妥当であるとすれば,左側と右側のSSA/Pの治療に対する考え方が従来とは異なったものになる可能性がある(内視鏡所見も右側と左側では異なったものになると思われる).
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