今月の主題 非腫瘍性大腸ポリープのすべて
グラフ
cap polyposis
赤松 泰次
1
1地方独立行政法人長野県立病院機構長野県立須坂病院内視鏡センター
pp.1192-1193
発行日 2013年7月25日
Published Date 2013/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113894
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概念・病態
cap polyposisは,1985年にSt. Mark's Hospitalの病理医であったWilliamsら1)によってはじめて報告された,特徴的な臨床所見,内視鏡所見,病理組織所見を有する比較的まれな大腸の慢性炎症性疾患である.従来,大腸の運動機能異常に伴う慢性的な機械的刺激が原因で,直腸粘膜脱症候群との異同が問題視されてきた2).しかし近年,H. pylori(Helicobacter pylori)除菌療法によって劇的に治癒した症例が報告され3)4),H. pylori感染との因果関係が示唆されているが,その機序については不明である.病変部にはH. pyloriは存在せず4),H. pylori感染に伴う何らかの炎症性サイトカインの関与が示唆されており4),特発性血小板減少症と同様にH. pylori感染症による胃外病変の可能性がある.
発症年齢はさまざまで好発年齢はなく,男性に比べて女性が多い2)5).臨床症状は粘液下痢や粘血便を主訴とする患者が多く,下腹部痛やテネスムスを訴える場合もある5).病勢とほぼ一致して病変部より蛋白漏出を来し,しばしば低蛋白血症を認める2)5).一般に,CRPや血沈値といった炎症反応は陰性である.病変部を内視鏡的あるいは外科的に切除するといったんは軽快するものの比較的短期間に再発することが多い5).
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