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CP(cap polyposis)は1985年にWilliamsら1)によってinflammatory‘cap polyp'of the large intestineとして報告された炎症性腸疾患で,1993年にCampbellら2)が‘cap polyposis'として報告した疾患である.大腸のポリープ状隆起の頂部に白苔を載せているその内視鏡的特徴から命名された疾患である.本邦でも分類不能型大腸炎などとして症例報告3)されていたが,内視鏡所見,組織所見などから現在では同一の疾患と考えられている.2002年に「胃と腸」第37巻第5号「cap polyposisと粘膜脱症候群」でCPと粘膜脱症候群の特集が組まれており,CPの多症例での臨床,画像,病理の検討が行われているが,原因や治療については明らかに示されなかった.同年にHelicobacter pylori除菌療法後に改善したCP症例をOiyaら4)が報告して以来,H. pylori除菌療法が奏効した症例報告が相次いでいる.
病変は直腸を含んだ左側結腸に多く,内視鏡所見はポリープ状の隆起の頂部がびらんを呈し,粘液や壊死物質が付着している典型的な所見(Fig. 1)以外に,地図状の発赤粘膜を呈することもある(Fig. 2).地図状発赤粘膜から典型的なCP像に変化した症例5)もあることから,地図状発赤粘膜はCPの初期像と考えられる.介在粘膜は基本的に正常であるが,隆起周辺ではやや浮腫状で白斑を伴うこともある.隆起部の病理組織所見は,腺管長が蛇行・延長し,過形成の所見を呈し,隆起部以外の地図状発赤粘膜病変からの生検でも同様の所見が得られる.いわゆる‘cap'部からの生検では炎症性肉芽組織がみられる.
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