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編集後記
中村 恭一
pp.1367
発行日 1980年12月25日
Published Date 1980/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112714
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あるパターンを呈する胃癌に対して,linitis plastica型癌,スキルス,Borrmann 4型癌,びまん性癌などと呼ばれていて,用語の混乱がある.しかし,それらの名称をもって規定された胃癌の形態には多少のずれはあっても,臨床的に共通することは患者の経過追跡中のある時点で急にどぎつい所見が出現することであり,病理組織学的には原発巣が胃体部に存在している場合が多いといった傾向がみられる.
このような臨床・病理学的な特徴を示す癌の早期発見は,早期胃癌診断学が進歩した現今でも,それが可能であるのか不可能なのかの証明のないまま残されている.本号はこのような癌の症例特集であって,どの症例報告も逆追跡の検討に耐えうるきれいな写真が呈示されている.これらの症例を通覧することによって,いわゆるlinitis plastica型癌の早期発見のための糸口が見出されるようにも思える.座談会では,先にも述べた用語の混乱を避けるため,新たなる名称を用いた用語の統一とその定義づけの必要性が強調されている.
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