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編集後記
中村 恭一
pp.540
発行日 1977年4月25日
Published Date 1977/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112611
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本号は症例特集と研究が掲載されている.このような症例中心の企画は,本来ならば,1つの問題に対してあらゆる角度から解析する主題形式とは異なったもの,つまり各症例の間には関係がないものになる率が高い.しかしながら,胃症例についてはⅡbあるいはⅡbに関係のある論文が4編もあり,読後にはⅡb特集のような感を抱かせる.このことは,わが国における胃癌診断学の研究の1つの方向を意味するとともに,本誌7巻1号にもみられるように,胃癌診断学の極限のひとつであるⅡb診断の理論確立への道を着実に一歩一歩前進していることをも物語るものであろう.大腸症例は,ポリポージス例のみであり,なかでも稀なCronkhite-Canada syndromeを3例もまとめて間接的に経験できるのは本号の特徴の1つであろう.
ひるがえって,症例報告というものは,ともすれば症例の記載・経験,ただそれだけに終始してしまうような錯覚におちいりやすいのであるが,同じ類の症例の積み重ね,それらを通覧することによってひとつの概念が確立されあるいは問題解決への新しい道が開かれる場合もある.1例1例がいかに大切であるかを再認識させられた.症例特集のひとつのあり方として,同類を1冊にまとめてみるのもあながち無意味でないようにも思える.
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