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編集後記
中村 恭一
pp.902
発行日 1983年8月25日
Published Date 1983/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109451
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蠕動という一定方向の運動を行う大腸,薄い粘膜筋板を有する大腸管壁,薄い粘膜筋板の表面を覆う粘膜,そして一様な構造の粘膜から発生する癌あるいは腺腫という限局性の腫瘤.これだけの条件があると癌あるいは腺腫は,その発育の早期段階では,粘膜筋板のひきつれを伴った外界(腸管腔)への限局性突出物として認められるようになるのは至極当然のことであろう.それを内視鏡的に治療しようとするポリペクトミー,これもまた自然の成り行きである.しかし,ここにはポリペクトミーの適応という問題が残されている.癌が粘膜筋板という1つの境界を越えている揚合の対処についてである.
本号はその問題について考えるということを目的として編集されたものである.多くのsm癌症例,そして現場で毎日その問題と対峙している諸先生による座談会,上記問題を考えるための材料と考え方はここに出そろったように思われる.これを契機として,この問題の経験的,主観的ではない定量的な裏づけのある解決が望まれるところである.
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