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編集後記
中村 恭一
pp.819-820
発行日 1988年7月25日
Published Date 1988/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108285
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臨床と病理の大いなる乖離
微小胃癌をめぐっての本号は,臨床と病理とが乖離しているおもしろい特集であったと感じるのは,当事者のみであろうか....
微小胃癌の術前診断は,ほぼ完成に近い胃癌診断学の中で残されている数少ない1つの命題であり,それは診断限界の追求でもある.私的な追憶となるが,顕微鏡下で微小癌の発見は容易であるが,X線・内視視鏡的に発見可能であろうか?との命題のもとに熊倉賢二先生と一緒に徹夜で検討したのは約二十数年前のことである.当時の結論としては,発見能率は悪く,それを追求することはむだなことかもしれない,しかし存在診断は可能であるかもしれないが質的診断は不可能であろう,ということであったように記憶している.それから二十余年の現在,着実に微小胃癌の術前診断症例は増加していて,更には未分化型・分化型微小癌の所見まで明らかにされていることは,本特集にみられるごとくである.
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