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編集後記
中村 恭一
pp.814
発行日 1981年7月25日
Published Date 1981/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108107
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ヒト胃癌を対象とした数多くの研究を通じて,ヒト胃癌の診断・治療は著しく進歩した.このような中にあって,実験イヌ胃癌の作製とそれに関する研究が着々となされていた.日常,ヒト胃癌の診断・治療・研究に携わっている人々の多くは,実験イヌ胃癌に関する断片的な知識を何らかの手段をもって知っていたとしても,この情報過剰の時代においてはなかなかその全貌を知ることは容易でない.本号は,まさしく実験イヌ胃癌の全貌を知ることのできる集大成ともいうべきものであろう.これからは,ヒト胃癌およびイヌ胃癌に興味を持つ人々の間で互いに協力しながら,研究のための研究ではなくヒト胃癌の実際に役立つ研究を遂行していくことが必要であろう.なぜならば,わかりきったことであるが,医学の研究は人間存在あっての研究であるからである.症例報告4編のうち,3編は比較的まれな病変の報告であり,1編は胃癌の組織発生の研究に適した症例の報告である.いずれも十分な考察が行われているものであって,このような症例の集積は未来に資すること大であろうと思われる.
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