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編集後記
中村 恭一
pp.1262
発行日 1977年9月25日
Published Date 1977/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112574
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胃癌診断学は,癌であるか否かの質的な面,および癌である場合にはそれがどのような拡がり(浸潤範囲horizonatal spreadと深達度vertical spread)をもっているかの量的な面の決定を含んでいる.本号は前号に続いて癌の拡がりのうち,深達度の判定が主題である.
癌の深達度の判定は,既存の胃癌診断の方法からは,どうしても粘膜側からみた癌の性状から深部の状態を推定するということが主となってしまう.西沢博士も述べているように,氷山の一角をみて海中にかくれた氷の大きさを推定するのに似ている.氷の例と深達度判定は表面の性状から見えない部分を推定するという点では似ているが,深達度判定は物理系とは異なり完全一様な系ではない生物系であるからなお始末が悪い.
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