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編集後記
武藤 徹一郎
pp.399
発行日 1977年3月25日
Published Date 1977/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112570
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本号はがらっと対象を変えて消化管の出口に焦点をあててみた.従来,直腸・肛門という臓器は“pile doctor”の扱う領域で消化管の中でも低い位置しか与えられていなかった.おそらく,学生の講義でもあまり詳しく話されてはいないであろう,しかし,大腸疾患が最近のように増加してくると,ここは無視できない場所になってきた.無視できないどころか,大腸疾患の診断の手がかりになる病変が直腸・肛門部に現れることが少なくないので,この部位の諸病変に関する知識が要求されるようになってきたのではないだろうか.
そのような実情に鑑みて,本号では,直腸・肛門の解剖学的特異性に始まり,消化管の出口から中へという順序で必要な知識が網羅されている.いずれも執筆者自らの経験をもとに書かれているので,教えられる所が多い.増田氏も指摘されているように,直腸肛門部は患者も診せたがらず医者も診たがらない場所ではあるが,大腸疾患を扱うときには避けて通るわけにはいかない.主題の諸論文と座談会の議論から,直腸・肛門疾患に対するアプローチの方法手順がよく理解されると思う.
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