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編集後記
武藤 徹一郎
pp.1012
発行日 2002年6月25日
Published Date 2002/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104500
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潰瘍性大腸炎(UC)におけるcancer surveillance(CS)がようやく始動しはじめたようである.第55回大腸癌研究会のアンケート調査で,わが国でも癌合併頻度が2%未満(10年),5%前後(10年~),10%以上(21年~)と経年的に上昇することが明らかにされた.この記録は多方面で利用しうる貴重なものとなろう,UCの罹患率,大腸癌の発生率が年々上昇しているわが国の状況を考えると,CSの重要性はますます高まるに違いない.現時点では欧米の経験に従った方法の導入しかないが,経験を積むに従って日本独自の方法が開発されることが期待される.色素撒布,拡大内視鏡の活用などがその1つであろう.7年以上の経過を有する左側大腸炎,全大腸炎に年1回のtotal colonoscopyを行い,DALMから生検を採取し,その他に10cm間隔に生検を採るという欧米のマニュアルがわが国でもそのまま通用するかどうかは,上述した内視鏡の新しい技術を含めてわが国が独自に検証しなければならない.本特集にはこの方法がよかった例と問題があった例の両方が報告されている.経験の少ない間は,とにかくマニュアルどおりに行うことであり,活動期にCSを行わないという決まりもきちんと守るべきである.dysplasiaと癌の異同に関しても,まずは欧米のプラグマティズムに見習うことが肝要である.その意味でも,本特集が今後のわが国での適切なCSの普及に役立つことを期待している.
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