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編集後記
武藤 徹一郎
pp.1254
発行日 1990年10月25日
Published Date 1990/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111506
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“虫垂腫瘤なんて主題では絵にならないし,取ってしまえば診断もついてしまうから外科的にはあまり問題にはなりませんよ,”本主題が提案されたときの私の第一声がこれであった.同じ意見の方も読者の中には少なくないと思う.しかし,本号を見てその考えを率直に改めねばならぬと反省している.この特集を強く主張した牛尾氏の情熱と眼力に脱帽せざるを得ない.編集会議でこの主題が決まった直後に虫垂Crohn病を経験した(提示症例)が,虫垂病変をバカにしていたバチが当たって,術前診断はつけられなかった.主題症例を読んでみると,いろいろな面白い例があることに驚かされる.主題の写真をみれば虫垂腫瘤の病態のアウトラインはつかめよう.病理の項を熟読すれば虫垂腫瘤に関する臨床病理の知識が十分に得られるはずである.虫垂病変が見過ごされるのは,切除された虫垂を真面目に見ようとしないからだという斉藤氏の指摘もそのとおりだと思う.これから消化管画像診断における鑑別診断の項目が1つ増えることになった.皆さん,アッペをもっと可愛がることにしましょう!
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