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編集後記
武藤 徹一郎
pp.1158
発行日 1985年10月25日
Published Date 1985/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109759
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大腸ポリペクトミーが始められてからもう15年が経過したことになる.この新しい技術によって大腸ポリープの取り扱い方は一変したと同時に,ポリペクトミー後の患者をどうfollowすればよいのかという新しい問題が未解決のまま残されてきた.本号ではポリペクトミー後の大腸に何が起きたかが如実に示されていて大変興味深い.ポリペクトミーの局所再発,ポリペクトミー後の大腸に,どのような病変がどのような時期に発生してくるのかが詳しく検討されている.数値が多くやや読みにくいきらいはあるが,その内容は明日からの臨床に役立つことであろう.腺腫の新生率,新生時期の点で山田論文と安達論文の内容に相違点が認められるのは,対象と検査方法の差によるのかもしれないが,今後長期にわたって検討してゆかねばならない問題を含んでいると思われ,他施設での検討が望まれる.
ポリペクトミーされたsm癌のその後の経過も大変有益なデータを提供してくれている.経過観察群が高齢層に片寄っていることは,腸切除を追加するか否かの判断に年齢の要素が入っていることを推察させる.生存率の差はこの年齢構成の差によるのかもしれない.ポリペクトミーの偶発症が少なくないことは深刻に受けとめなければならない.表面に出てこない例がもっと多いことを考慮すると,このまま放置しておいてよいものかどうか考えさせられた.
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