--------------------
編集後記
武藤 徹一郎
pp.376
発行日 1992年3月25日
Published Date 1992/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106805
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
腸型Behçet病とsimple ulcerの異同が「胃と腸」に取り上げられてからもう13年が経過した.この間に症例数が飛躍的に集積されたかと期待したのだが,意外に少なく期待外れであったように思う.Crohn病などに比べて,外科ではこの疾患にお目にかかることはほとんどなくなってしまった.症例が減少したのか,内科的治療が上手になったのかのいずれかであろう.腸型Behçet病とsimple ulcerの異同については今回も意見が分かれることになった.あの大きくて特徴的なpunched-out ulcerの成因も完全に解明されてはいない.飯田らの観察では腸型Behçet病では小潰瘍の融合が起こるようであるが,simple ulcerではどうなのであろうか.内科的治療によって治癒瘢痕化しても再燃しやすいということはわかったが,これは治療下における自然史の一端にすぎない.前回の特集に比べればずっと見通しはよくなったのだが,もっと多くを期待した筆者には少々物足りない感じがしないではない.少ない症例を大切に扱って経過を追うことは大変な仕事であるが,次回の特集では是非とも両者の異同と自然史を明らかにしてもらいたいと思う.例えば,局所サイトカインなどの新しい手法を取り入れたbreak-throughを期待したい.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.