胃と腸ノート
膵管造影の評価(3)―副作用について
中沢 三郎
1
1名古屋大学医学部第2内科
pp.537
発行日 1975年4月25日
Published Date 1975/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112308
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EP(C)Gは今後,なお発展させなければならない問題点を含んではいるが,膵疾患診断には必要不可欠の検査法となった.しかも単に鑑別診断や補助手段としての検査法ではなく,従来は全く不明であった微細な形態的異常を認識しようとする積極的診断法の旗手とさえなっている.このようにEP(C)Gの果たす役割が重く,かつ大きくなるにつれて検査対象も拡大され,場合によってはroutine workとして行なうべきだとの意見も聞かれる.たとえば,現在の膵癌診断についてみても,なるほど診断が確立しても時既に遅しで根治的治癒の可能性のある症例はきわめて稀である.とすれば膵癌が急激に増加しつつある本邦の現状から考えても,何とかして早期膵癌を発見したいと思うのは臨床医として当然であり,かかる意味からみてもEP(C)Gの検査回数は増加の一途をたどっていることも,当然うなずけるところである.しかしながら,ここに重大な問題が発生したのである.すなわち,EP(C)Gにより惹起される副作用である.
胃腸管のような管腔と異なり,膵は実質臓器であり,しかも多量の消化酵素を産生する部位であるので,造影剤の注入による物理的,化学的な膵組織の破壊,あるいは細菌感染などがあり,ときには重篤な結果を招く危険性がひそんでいることに留意しなければならない.EP(C)Gによる副作用を約600例についてみると腹痛と発熱が最も多くみられ,背部痛や下痢などもみられる.
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