増刊号 早わかり縫合・吻合のすべて
4章 術式別の縫合・吻合法
膵臓
膵管-膵管吻合
林 千紘
1
,
浅野 之夫
1
,
伊東 昌広
1
,
荒川 敏
1
,
加藤 宏之
1
,
志村 正博
1
,
越智 隆之
1
,
堀口 明彦
1
Chihiro HAYASHI
1
1藤田医科大学 ばんたね病院 消化器外科学
キーワード:
膵管吻合
,
外傷性膵損傷
,
膵機能温存
Keyword:
膵管吻合
,
外傷性膵損傷
,
膵機能温存
pp.280-282
発行日 2020年10月22日
Published Date 2020/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213161
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外傷性膵損傷のⅢb型(複雑深在性損傷,主膵管損傷あり)の際や低悪性度膵腫瘍の際に膵機能温存を目的とした縮小手術として膵中央切除術が選択されることがある.その際に選択される膵管再建方法が膵管-膵管吻合である1,2)
外傷性膵損傷においては膵体尾部切除などの膵切除術が標準的に行われているが,脾合併膵体尾部切除を行った場合,overwhelming post splenectomy infection(OPSI)の発生率が健常人の58倍であり,その81%が致死的であるという報告もある3).特に若年者の場合や多臓器損傷がない場合,膵機能と脾臓温存の目的で膵管-膵管吻合手術を選択することもある.一方で膵管縫合による合併症である膵液漏や仮性膵囊胞のリスクもあり,この術式を施行する際は全身状態,手術や合併症のリスク,術者の技量,バックアップ体制などを考慮する必要がある.
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