胃と腸ノート
膵管造影の評価(2)
中沢 三郎
1
1名古屋大学医学部第2内科
pp.309
発行日 1975年3月25日
Published Date 1975/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112229
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EP(C)Gが一般化し,多数の症例について行なわれると,EPGで得られた所見の解釈が困難な症例が出現してきた.
EPGの異常像には閉塞,狭窄,拡張透亮像などの膵管内腔の変化,不整や直線化などの膵管辺縁の変化や膵管の走行異常などがみられる.閉塞像においては疾患によるものと人工的なものがあるが,空気混入や造影剤注入不十分の場合には恒在性の有無や,周辺の膵管の状態から区別が可能である.又人工的なものではペン先様の閉塞はみられない.狭窄像については狭窄部への移行の連続性の有無,狭窄部の範囲,その辺縁像,尾側膵管の拡張の度合,周辺分枝の状態などから判断されるが,癌浸潤が管壁に及んでも結合織増生が著明でない場合は狭窄像として認識されにくく鑑別困難な場合がある.明らかな狭窄像がみられても悪性ではない場合もある.膵管拡張像あるいは分枝の囊腫状拡張は膵炎例においてよくみられるがこれのみで膵炎と判定できない.特に分枝の点状,囊状拡張は膵癌の場合において不整な貯溜状としてみられるので両者の鑑別が困難なことがある.辺縁不整像も又判断が難かしい.膵頭部膵管の一部に僅かに辺縁不整像がみられる膵頭部癌の組織所見をみると,主膵管には癌浸潤はなく,膵管内側にも著変はみられず,周辺の癌に伴う局所的な結合織増生がみられ,この変化がX線像に影響を与えたと考えられる.
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