胃と腸ノート
食道の早期癌・表在癌の内視鏡診断
遠藤 光夫
1
1東京女子医科大学消化器病センター外科
pp.498
発行日 1975年4月25日
Published Date 1975/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112300
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食道では早期癌は「癌の浸潤が粘膜下層までで,リンパ節転移のないもの」と定義され,リンパ節転移および他臓器に転移の認められたり,リンパ節転移をうんぬんしないときは表在癌とよぶが,内視鏡上では,表在型として一括して表現する(食道癌取扱い規約,1973).早期癌,表在癌は年々報告例がふえているというもののまだ少なく,鍋谷らによれば,1973年末までの全国集計は90例余である.われわれも過去9年間で22例(早期癌16例,表在癌6例)を経験しているが,これは同期間の切除例524例中の4%にすぎない.
臨床症状は,軽度嚥下障害,食道異物感,異常感などの食道不定愁訴,軽度嚥下痛などでが主あって,胃の集検,定期検査で食道造影を併用,無愁訴例の発見に努めるとともに,外来受診者でわずかの食道症状を見のがさないようにすることが大切である.食道鏡検査として,細径(径7mm)のファイバースコープでの検査は,患者の負担も少なく,外来でのスクリーニングに使用できる.
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