特集 縫合・吻合法のバイブル
Ⅲ.部位(術式)別の縫合・吻合法
9.膵・脾
膵管—膵管吻合
今泉 俊秀
1
,
原田 信比古
1
,
羽鳥 隆
1
,
高崎 健
1
Toshihide IMAIZUMI
1
1東京女子医科大学消化管外科
pp.327-330
発行日 1998年10月30日
Published Date 1998/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903409
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はじめに
膵切除術後の膵再建術として,膵—空腸吻合術が一般に行われてきた.Begerら1)による十二指腸温存膵頭切除術でもRoux-Y挙上空腸脚と膵との再建が行われ,血流障害の危険性がある十二指腸は再建対象臓器として選択されなかった.筆者らは十二指腸温存膵頭全切除術後に膵と十二指腸との吻合に初めて成功したが2),その後十二指腸乳頭部を切除することなく主膵管(または総胆管との共通管)を十二指腸壁外で切離して尾側膵管との再建を,また副膵管が太い例では副膵管との再建を,すなわち膵管—膵管吻合を行った3,4).主膵管損傷に対する膵管—膵管吻合術としてMartin手術5)が行われることがあるが,その適応はきわめて限定されたものである.本稿では十二指腸温存膵頭全切除術後の膵管—膵管吻合を伴う膵—十二指腸吻合を中心として手術手技の要点を述べる.
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