Japanese
English
今月の主題 膵疾患の展望(2)―膵炎を中心に
主題
剖検からみた膵癌
Histopathology of the Pancreatic Cancer
赤川 直次
1
,
三田村 忠行
1
N. Akagawa
1
1虎の門病院病理学科
pp.1557-1562
発行日 1974年12月25日
Published Date 1974/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111708
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膵は上腹部の後腹膜に位置する実質性の臓器である.そしてこの解剖学的な位置が膵疾患の診断を極めて困難なものとしてきた.特に膵癌の早期発見がむずかしいことは,種々の検査法の発達した現代医学においても,昔と変わらないようである.膵癌を鈎,頭,体,尾部に発生したものに分けて考えてみると,やはりおのおのの部の位置,隣接臓器との関係にしたがって,癌の進展の型,発現する症状の種類に差が生じてくる.
われわれは虎の門病院における剖検症例について,膵癌の死因と直接かかわっていると思われる形態学的変化とその内容の分析,死因と癌の浸潤との関係について検索した.また,総胆管を狭窄あるいは閉塞し比較的早期に閉塞性黄疸をもたらす膵頭部癌は従来,膵頭十二指腸切除術や,黄疽軽減術の適応の1つとされてきた.そこで,膵頭部癌の非手術症例,黄疸軽減術症例,膵頭十二指腸切除術症例の,おのおのの初発症状から死亡までの期間(生在期間),死因などの比較を行なってみた.なお,ectopicの膵癌および内分泌系の腫瘍は症例もないので除外した.癌の組織型や膵管の変化については,まだ充分検索していないのでここには述べない.
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