内科専門医を志す人に・私のプロトコール
XI.剖検
西崎 統
1
1聖路加国際病院・内科
pp.1842-1843
発行日 1975年11月10日
Published Date 1975/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206308
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臨床から剖検へ
内科専門医受験の際には,内科臨床研修5年間に剖検例を少なくとも5例以上経験し,そのプロトコールを提出しなければならない.剖検例は,各病院によって,その症例数はさまざまであると思われるが,できれば症例数は多い方がよい.そもそも,臨床医学の進歩は,基礎医学をはじめ,病理解剖学の協力とともに今日に達してきたものである.臨床解剖は医師の誰もが日常臨床の場を通じ,体験しなければならない極めて大切な学問の場である.とくに患者の臨床症状を観察し,病因を探究し,治療を行ってゆく上に,剖検の経験が臨床上いかに役立っているかを先輩諸氏が語り,また,記載してきている.
確かに,5年間の浅い臨床研修の経験からでも,患者の病気の診断は,かつて経験した同じ疾患ならば,剖検による正しい経験から臨床診断を自信をもってつけられるものである また,剖検の結果,臨床症状,検査成績,病因などの疑問点の解明に役立ち,さらに新しい知識を得る場合が決して少なくない.したがって,誠意ある治療を続けているにもかかわらず死亡した場合は,できるだけ剖検の許可を得るように努力しなければならない.そのためにも,医師と患者の間には信頼をもって日頃から臨床にあたり,患者の家族ともよく接し,病状,予後などについては,その都度話し合うことが大切である.
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