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新潟消化器病同好会の活動状況を御伝え致します.この同好会の濫觴は昭和30年に遡る.即ち,昭和30年9月,田坂定孝先生の御肝入りで,当時の鳥飼内科の高須靖夫先生,太田嘉昭両先生が胃カメラの臨床応用に取りくまれたのが,本同好会発足の第1歩である.ついで小黒忠太郎先生もこれに加わって,昭和34年8月,東京より芦沢真六,内海胖先生をお迎えし第1回新潟地区胃カメラ同好会がもたれるに至った.38年末には東京より村上忠重,白壁彦夫,信田重光の諸先生がお出になり,市内東映ホテルにて講演会が開催され,大いに刺戟をうけたのである.このような気運のもとで昭和39年8月,新潟大学内科,外科,放射線科,病理,それに市医師会の諸先生方のなかで,消化器疾患に興味をもたれる助教授,講師の方々が中心となり,新潟消化器病同好会,新潟内視鏡同好会が設立された.この間の経過,或いは日本内視鏡学会甲信越地方会,更には新潟県医師会における胃カメラ普及に対する意慾的な努力等々との関係については既に笹川博士によって本誌(中越消化器病同好会,本誌,3巻,5号,628頁)に紹介済みであるため重複をさける.前述の如く本会は新潟地区胃カメラ同好会と不可分の関係で発足したのであるが,胃カメラ同好会が主として読影,診断を中心とした症例検討会の形式で隔月に行なわれるに対し,本同好会は学会形式として年2回,2月,7月に例会を開催することにしている.発足以来本年の7月例会で既に8回の研究集会を持ち,毎回150~200名の出席者をみている.内容は胃疾患に関する発表が最も多いが,その他,腸管,膵,肝,胆道系のすべてに及び,又毎回特別講演やシンポジウムを企画し,或いは会員よりのアンケートに基いて演題の焦点をしぼったり,極めて多彩な運営が為されている.特別講演の演者として,時に中央より市川博士,城所先生等をお招きしたり,又新大内科市田教授,或いは北畠教授等に御願いし,胃癌のレ線,内視鏡診断に関する綜説をお聞きしたり,或いは急性肝炎の病理,食道癌の放射線治療,吸収上皮の微細構造からみた消化吸収の問題,等,今日消化器疾患に於て最もトピックスとみなされる領域についてのお話しをして頂いております.毎例会の出席者は新潟市内,近郊はもちろん県内各地から参集され,而も何れもこの領域の疾患に興味を持っておられる諸先生とて,演説の内容,討論の活溌さなど,一地方の同好会のトップレベルではないかと自負する次第であります.なお,第6回同好会より演説内容の抄録を新潟医学会雑誌に掲載することに致しております.新潟県は本邦でも有数の胃癌発生地でもあり,又肝疾患を始めとした消化器疾患も多く,本会の活動を通じて一人でも多くの早期胃癌が発見され,又多数の消化器疾患の解明と治療とが推進されれば幸いと思っております.
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