今月の主題 十二指腸潰瘍〔2〕
綜説
十二指腸潰瘍の経過
八尾 恒良
1
,
古賀 安彦
1
,
岡部 治弥
1
1九州大学医学部勝木内科
pp.181-194
発行日 1967年2月25日
Published Date 1967/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110467
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
十二指腸潰瘍は胃潰瘍と共に,もっともpopularな消化器疾患であり,今世紀に入ってから詳細な研究が成されてきた.
胃潰瘍に関する臨床的研究は,近年内視鏡検査の発達普及に伴い,わが国において著しい発展がみられ,成因は別としても,その病態生理は精細に解明されつつあるといえる.
しかるに,特に本邦においては,十二指腸潰瘍は,胃潰瘍に比し注目をあびることは少なく,その病態の解明に関しても遅々たる進歩しかみられず,未だ1940年代の業績をそのまま踏襲しているといっても過言ではない.この傾向は欧米において消化性潰瘍と呼ぶ場合に先ず十二指腸潰瘍を問題とする傾向にくらべ著しい差異がある.
かかる点から,今回われわれは十二指腸潰瘍について,比較的厳密に客観的判断のできる,昭和38年以後の材料にて,レ線所見を中心として,その経過を分析してみた.
以下われわれの成績を中心として,諸家の業績を比較引用しつつ種々考察を加える.
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.