今月の主題 十二指腸潰瘍〔2〕
綜説
十二指腸潰瘍の鑑別診断
熊倉 賢二
1
,
金 孟和
1
1癌研付属病院内科
pp.203-215
発行日 1967年2月25日
Published Date 1967/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110469
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はじめに
十二指腸潰瘍では,胃潰瘍が良性か悪性かといったような鑑別診断は問題にならないであろう.なにしろ,十二指腸潰瘍は良性と判定してまず間違いないのだから.また,実際に十二指腸潰瘍が良性か悪性かが問題になったような報告例はまだないようである.むしろ,胃に比べて,X線検査が不十分であったり,読影にふなれであったり,あるいは不注意のために,十二指腸潰瘍を見落したり,潰瘍がないのにあると誤診したりする症例があまりにも多すぎるようである.また,ほかの疾患を安易に十二指腸潰瘍と診断してしまうような一面もある.しかし,十二指腸潰瘍のX線診断は,すでに,いちおう完成されていて,X線検査さえ着実に行なえば,十二指腸潰瘍は確実に診断できるといってよい.そこである程度の十二指腸の解剖および病理を理解したうえで,十二指腸のX線検査はどうしたらよいか.どのようなときに十二指腸潰瘍と誤診される可能性があるか.また,どのようなときに十二指腸潰瘍が見落されるか.そのようなときには,どのようなX線検査をしたらよいか.どのような点に注意して読影したらよいか.といった立場から,十二指腸潰瘍の鑑別診断を検討することにする.
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