特集 術前ワークアップマニュアル—入院から手術当日までの患者管理
Ⅰ.術式別:術前患者管理の実際
9.膵臓手術
幽門輪温存膵頭十二指腸切除術
具 英成
1
,
鈴木 康之
1
,
岩崎 武
1
,
黒田 嘉和
1
,
斎藤 洋一
1
1神戸大学医学部第1外科
pp.181-185
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902472
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幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(以下,PPPD)は,術後小胃症状がなく消化管ホルモンを介した胃膵臓器相関の破綻が小さいため,膵炎や乳頭部癌など膵頭十二指腸領域疾患の切除術式として近年広く受け入れられている.しかし,膵癌など悪性疾患での適応の限定や術後の胃内容停滞を来たしやすいことが短所として挙げられている.術前準備をすすめるうえではこうしたPPPDの利点,欠点に対する十分なインフォームドコンセントを行う.また黄疸例,栄養不良例では減黄や栄養管理を入院後できるだけ早期に開始するとともに,術前検査をバランスよく計画し,患者の体力的負担が過度に集中しないよう配慮する.以上の諸検査結果をもとに全身状態や病変の進展度について改めて再評価し術式の妥当性を検討する.
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