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編集後記
牛尾 恭輔
pp.1154
発行日 1997年7月25日
Published Date 1997/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104988
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消化管の移行部は,物理的,化学的,生物学的な刺激を受けやすく,上皮の剝脱や再生が頻繁に行われている.特に噴門部領域は,上皮が扁平上皮から単層の円柱上皮に移る部位である.この部には種々の病変が生じやすい.そこで胃噴門部領域の病変として,本号で「(1)癌」,次号で「(2)癌以外の病変」が特集される運びとなった.本号はこの部に生じた癌の特徴を明らかにすることに主眼が置かれ,噴門部に生じた進行癌における食道への上皮下浸潤や,手術法の選択に直結する壁外浸潤の画像診断について,詳しく述べられている.また盲点となりやすい噴門部領域の早期癌の診断をどうするかが,新たな観点から論じられ,これに病理診断と最近の治療法が加わり,重みを増している.ところで,良い臨床医は良い研究者でもあるという.消化管の移行部の1つである噴門部領域の特殊性を熟知して,診断と治療にあたることは大切である.この視点に立って,本号が課題の多い噴門部癌の診断にどう立ち向かい,日常の診療にどのように役立たせるかの指標となれば幸いである.
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