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書評「膵癌の早期診断図譜」
本庄 一夫
1
1関西医科大学
pp.333
発行日 1985年3月25日
Published Date 1985/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109939
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消化器癌の中でも膵癌の治療成績の悪いことは周知のようである.1935年に膵頭十二指腸切除がWhippleらにより創始され,わが国では戦後の1949年にこの手術が行われるようになった.爾来,本年で35年を経過している.この数年,小膵癌に対する早期発見の診断技術は,特にわが国において長足の進歩を遂げつつある.1984年9月に開催されたリスボンにおける第1回国際膵学会においても,わが国のこの領域に関する発表は出席者の注目を浴びた.だが,まだまだ小膵癌例の発見報告数は少なく,また小膵癌といえどもその予後は他の癌に比し良好とは言えない.
このときに当たって,癌研究会付属病院の高木国夫氏らにより「膵癌の早期診断図譜」が発刊されることになった.同氏のこの数年の業績については私も熟知しており,その真摯な研究に対する情熱にはかねがね敬意を表していた次第である.膵外科の黎明期に貢献された同病院名誉院長であられる梶谷 鎧先生の流れを汲むものと理解している.
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