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書評「肝疾患診断図譜」
高橋 忠雄
1
1東京慈恵会医科大学
pp.786
発行日 1976年6月25日
Published Date 1976/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107304
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これは1974年Georg Thieme Veragから出版された,“Synopsis der Leberkrankheiten―Lehrbuch und Atlas zur Diagnostik”の訳業である.編者らのまえがきには,次のような意図が述べられている.肝疾患の確診は,最終的には腹腔鏡検査と生検によることが多いことは周知の通りである.しかし,これらを集成した図譜は,すでに何種類か刊行されているし,また,肝疾患の診断には,このほかに,いわゆる機能検査,シンチグラフィー,ソノグラフィー,血管造影などが有用であり,多くのばあい,これらの組合わせによって,完壁な診断に到達することが可能となる.
編者らは,急性・慢性肝疾患(胆道疾患を含む)を約30の病型に分け,それぞれについて,機能検査成績,シンチグラム,ソノグラム(時に血管造影),腹腔鏡所見,生検組織像および電顕像の,定型的ないし平均値的なパターンを掲げ,それについての解説註釈を加えた.この定型的あるいは平均値的という点は,各著者のかなりの苦心を要したところであるようで,それだけに,肝疾患の診断に当面している臨床家にとっては,稗益するところが大きいと思われる.
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