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今月の主題 大腸診断学の歩みと展望
主題
腸疾患の病理診断の歩みと展望―「胃と腸」の論文を中心に
Recent Advances of Pathological Diagnosis of Colorectal Disease
渡辺 英伸
1
Hidenobu Watanabe
1
1新潟大学医学部第1病理
pp.283-292
発行日 1985年3月25日
Published Date 1985/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109754
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はじめに
本誌「胃と腸」が創刊されて20年になる.この間,この雑誌が,日本において腸疾患の病理診断に果たしてきた役割はどのようなものであったろうか,また世界におけるそれはどのようなものであったろうか.本稿で,「胃と腸」をとおしてみた日本における腸疾患の病理診断の歩みと展望を述べてみたい.
わが国では,消化管の診断学は胃疾患の診断学から始まった.このことは「胃と腸」の表紙の文字の大きさが対等になったのが1977年の12巻1号からであることからも窺い知ることができる.わが国における腸疾患の臨床病理診断学は,初期には症例数が少ないことや臨床側の腸診断学の遅れなどもあって,1960年代までは,多くの分野で欧米に遅れ,欧米の臨床病理診断学の紹介や模倣に終始していた感があった.それ以降,世界的な,わが国の胃診断学の手法が腸疾患へ導入されるようになって,わが国の腸疾患病理診断学はある分野では追従から追い越し,ある分野では新知見の発見と著しい進歩を遂げてきた.これらの歩みを,病理診断学の立場から,腸の腫瘍(様病変)と炎症とに大別し,それぞれの代表的疾患について述べ,各疾患における問題点を探ってみたい.なお特に断らない限り,巻号数は「胃と腸」掲載論文を示す.
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