今月の主題 大腸sm癌
主題症例
B 内視鏡的ポリペクトミー後に腸切除した例
11.ポリペクトミー後の癌遺残を11ヵ月間経過観察した直腸sm癌の1例
吉井 由利
1
,
加藤 知行
2
,
鈴木 亮而
3
1愛知県がんセンター第1内科
2愛知県がんセンター第3外科
3愛知県がんセンター臨床検査部
pp.826-827
発行日 1983年8月25日
Published Date 1983/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109415
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〔症例〕68歳,女性.家族歴として叔父が胃癌死.30歳から痔疾,65歳から高血圧症の既往あり.2~3年前から排便時に肛門出血が時々あったが痔と思い放置した.1981年4月初めから出血が頻回となり,4月16日当院を訪れた.
直腸診で肛門輪から3~4cm奥前壁に,やや可動性のある拇指頭大の隆起を触れ,易出血性であった.大腸X線所見は,肛門輪から4cmの直腸前壁に15×20mmの境界明瞭な円形の隆起性病変を示し,広基性で大きいことから癌を疑った(Fig. 1).大腸ファイバー所見は,Ⅱa様隆起で表面凹凸し,易出血性のびらんを有し(Fig. 2),3個採取した生検すべてに癌を認め,うち1個にはsmへの浸潤を疑った.当院では,sm癌は原則的に根治手術の適応としており,強力に手術を勧めたが,患者が固く拒否したため6月2日内視鏡的にpiecemeal polypectomyを行った.
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