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編集後記
岡部 治弥
pp.218
発行日 1983年2月25日
Published Date 1983/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109292
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新しい診断方法や器具の進歩により,新しい疾患の発見ないし,既知疾患の実態がより明らかにされることは当然のことながら,臨床に携わるものにとって,心躍り,勇気づけられ,研究心を更にかきたてられることであるが,本号に取り上げた主題は最近における1つの好例であろう.大腸内視鏡の出現・普及に伴って偽膜性腸炎の実態はより明らかとなり,また,急性出血性大腸炎が発見された.前者は大腸鏡の出現以前から,剖検例によって,その存在は知られていたが,現在臨床的に観察されるものとは,はるかにかけ離れた重症の予後不良例であり,いわば,その一面を見ていたにすぎない.そのより早期の病変の発見は細菌学的研究を刺激し,急速にその起炎菌が解明された.後者については,まだその発生病理については不明であり推論の段階であり,今後の解明が待たれる.
本誌上には見事な内視鏡像やX線像がいつものことながら贅沢なまでに登載されている.1つ1つの論文は症例報告を含めて,現時点における知識のすべてが網羅されている.座談会では司会者として種々質問させていただいたが,終始,誠によい勉強となった.座談会と各論文を比較照合しつつお読みいただくと,本号はより興味深く教示に富むものとなるであろう.
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