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編集後記
岡部 治弥
pp.1069
発行日 1971年7月25日
Published Date 1971/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111684
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幽門部の病変にはおのずから特徴があり,特に幽門輪部近傍の病変はX線学的にも,内視鏡学的にも案外と見落とされやすく,また,たとえ見落とされなくとも性状診断が困難であるということより,幽門部を一つ主題として取りあげてみようということになった.しかし,その際,幽門部とはどの範囲をいうのか,幽門部の幽門輪側は何と呼ばれているのか,または何と呼べばよいのか,さらに幽門前庭部とはそもそもどの範囲なのかということが問題となり,編集会議は俄然,たいへん活発な討論の場となった.これはいわば当然なことで,本誌早川氏の論文にくわしくあげられた各先人の幽門部(pyloric portion)の定義も決して一様でない.本邦においては,胃診断学がこれほど微細精巧化した現在,早急に胃内各名称の統一がはかられなければならないとしみじみ感じたことである.そういうことで,幾分曖昧な定義のままに,この主題をもらった執筆者の方々も,当然その受けとり方に微妙な差があり,3本の主題の表現も,幽門部(pyloric portion),幽門前部,幽門部とその近傍,とすべて異なっている.読者の諸先生も,その点やや混乱されるむきがあると思われるが,内容をお読みいただけば,おのおのの意図される点は極めて明瞭であるので,この3本の力作を熟読玩味されて,大いに今後の診療に御参考としていただきたい.
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