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編集後記
岡部 治弥
pp.258
発行日 1975年2月25日
Published Date 1975/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112188
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編集会議で,そろそろ慢性胃炎をまたとりあげたらという話が出,ことのはずみで青山,望月両氏と私がその担当を命ぜられた.迷路のような慢性胃炎,シブシブ出席した小編集会議席上,青山氏が同じく慢性胃炎でも局在病変の周辺粘膜という観点ではという素晴らしいideaを出された.局在病変をもった胃全体の粘膜所見と,どちらがよいかという微妙な意見の相違についての論議の末,結局,“胃粘膜―局在病変の背景として”といううまい表現が生まれ,それに決まった.
themeが決まると次々とideaが出て,ついに1号では収まりきれず2号にわたることとなった.本号は良性潰瘍とポリープ病変の発生する背景粘膜の特集である.かなり書きづらいthemeではないかと内々心配していたが,編集を終え,諸論文を読ませていただいて,いずれも素晴らしい力作である.少しく観点は異なるが,五ノ井氏の論文は瘢痕の形から潰瘍の歴史を探るという新しい解析であり,長年の研究の成果に敬意を表したい.福地氏は良性ポリープ,Ⅱa subtype,隆起性胃癌の背景としての胃粘膜の特徴を明確に示し,教わるところが多かった.八尾氏らは私どもが感覚的に読みわけている過酸過分泌の胃粘膜所見を具体的に分類している.比企氏らは現在細かい点になお納得されていない肥厚性胃炎像を緻密に追いつめている.芦沢,白壁,村上各一門の方々の論文は,1例1例,症例をつみかさねた長年の研究から初めて生れたものである.読者諸兄諸姉の熟読玩昧をお願いしたい.
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