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書評「螢光抗体法・酵素抗体法」
鈴江 懐
1
1京都大学
pp.800
発行日 1972年6月25日
Published Date 1972/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109163
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New ZealandのAucklandで2月に開催された第2回アジア太平洋地域国際リウマチ学会に出席して,帰国したのは3月上旬であった.留守中に山積していた郵便物を整理していると,その中に書籍小包が医学書院から届けられているのが見つかった.あけてみると浜島義博,安田健次郎両教授の著書『螢光抗体法・酵素抗体法』であった.
B5・総頁数642,全巻アート紙に印刷せられた,ずっしりと手重いこの著書は,最近20数年の学界における螢光抗体法の驚異的な普及率と重要性そのものを暗示するかのように,堂々たる偉容を誇る巨冊である.またこれを通覧してみると,その内容がすばらしい.もちろん単なる免疫組織学的検査手技の指南書などではなく,これによって獲得せられた複雑多岐なこの方面の知見を,ほとんどあますところなきまでに蒐集,整理統合して,これを詳細に紹介するとともに,さらに適切な著者らの論評を付加した独創的な論著である.また,その巻尾に記載されている文献の集大成がみごとである.文献の頁数250,研究題目別に分類せられていて,完壁に近いものである.言うならば,本書を手にすることによって,研究者は過去に遡って文献の探索をする必要が全く無く,しかもこれら文献が本文において詳細に紹介され論評されているのであるから,本方面のことについては本書をもってその出発点とすれば良いということになる.まことに研究者にとっては,この上もない便利な有益な書物ができたものである.
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