入門講座 血清
螢光抗体法
松橋 直
1
1東大医学部血清学
pp.813
発行日 1967年11月15日
Published Date 1967/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916249
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抗体が抗原物質と反応して結合していることは,前回までの種々の血清学的反応で推定することができるが,もっとも具体的な方法は,抗体に螢光色素や放射性物質を標識したものを抗原と反応させ,抗原が螢光を発したり,放射性になったことを判定する方法である。螢光色素を標識した抗体で抗原あるいはそれに関係ある物質を探ぐる方法を螢光抗体法(Fluorescent antibody technique)とよび,放射性物質を標識した抗体をもちいる方法を放射免疫学的検査法(Radioimmunological technique)とよんでいる。今日臨床検査法に導入されているのは主として螢光抗体法であるので,今回は主にこれについてのべることとする。
原理および術式:直接法,間接法,補体法などに分類されている。直接法は,ある物質に対する抗体をフルオレッセイン,ローダミンなどの色素で標識しておく。この抗体(螢光抗体)を抗原が存在すると思われる塗抹標本,組織標本にかけると,もし抗原が存在すれば螢光抗体が結合する。こうした標本に螢光色素が吸収して螢光を発する波長の光,たとえばフルオレッセインなら495mμの光をあてると520mμの波長の螢光が抗体が結合している抗原の部位から発せられるので,顕微鏡で観察することにより,抗原に抗体が結合したことを知ることができる(図参照)。
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