--------------------
書評「臨床X線診断学 第4巻2 腹部 2」
石田 正統
1
1東京大学
pp.792
発行日 1972年6月25日
Published Date 1972/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109152
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
近年特に多くの医学書が発刊され,手軽に勉強するにはまことに便利な時代になって来たことを有難く思っている.医学書にもいろいろあるが私は著者自身の経験を客観的に掘り下げたものに最も強く惹かれる.嘘がなく,実際に真似すればできるからである.しかしそのような本を書く人の立場に立って考えてみるとまことに大変な大事業であろう.そのような本は長い年月の経験の労苦がそのさりげない一行一句の間に浸み出ているものである.この本をひもといた時の第一印象は正にそれであり“ああ! やんぬるかな”と羨ましい気もして先ず序から読み始めた次第である.そして編集者白壁教授がその序に述べられたように私も一挙に読み下す気になった.読み終ったときには確かな満足感があった.本書の価値はその長い経験が淡々とにじみでている点にあるといえる.
すべてもれなく欲しい写真を集めることは一見容易に思われるが実際には並大抵のことではない.写真をうつす技師の技術に左右されたり,担当する医師の方針も時期によって変るからである.
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.