測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
螢光抗体法
森川 茂
1
,
原田 孝之
1
1島根医科大学病理学教室
pp.613-622
発行日 1979年8月1日
Published Date 1979/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201889
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
今日広く医学・生物学の分野で利用されている免疫組織学は,昨秋逝去されたハーバード大学の故A. H. Coons教授の螢光抗体法に始まる.その最初の報告は1941年のことであった.抗原-抗体反応という反応機序の特異性と安定性とを利用して,その反応結果を直接顕微鏡下で観察しようとするアイディアはCoons以前からもあり,既に1930年代にReinerやMarrackらにより,ジアゾ化色素を用いて試みられていた.しかしこの赤色の抗原—抗体反応物は組織切片中,顕微鏡下での観察に耐えず,Coonsとその二人の協力者CreechとJonesによる螢光色素標識抗体の出現まで実用化は待たねばならなかった.
大学卒業後ドイツへ留学した若き日のCoonsの学問上の最初の問いかけは,リウマチの病因の一つに抗原-抗体反応による組織障害が挙げられているが,それが真に病因に関係するならば,その局所で抗原-抗体反応が証明されるのではないか?その証明はどうすればいいか?であった.その結果産み出されたのが螢光抗体法であった.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.