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編集後記
熊倉 賢二
pp.817
発行日 1972年6月25日
Published Date 1972/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109166
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胃癌の浸潤範囲と深達については,常日頃なやまされているだけに,今月号の主題は読んでいて思わず引きこまれてしまう.複雑にもつれた問題を一つ一つ解きあかしてゆく過程は推理小説以上の面白さがある.古賀先生は拡大撮影という方法を導入された.八尾先生は次々に新しい課題を解決してゆかれる.中井先生は,多年にわたる研究を,きわめて簡明にまとめて下さった.佐野先生は,病理の立場から,深達度診断の方向づけをして下さった.これだけ各方面から明快に手がかりを説き明かしていただくと,今日からすぐ役に立つようにと思う.また,各地で浸潤範囲や深達度の問題が,やかましく議論されるようになることであろう.
主題に関連した問題として,崔先生,多羅尾先生,吉野先生のⅡbについての症例や研究は貴重である.ごく微細病変のX線写真や内視鏡写真が,うまく印刷されているかどうか心配である.また,胃癌の食道進展型式についての秋山先生の研究は,内視鏡の立場からばかりでなく,X線診断の立場からも役に立つであろう.
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