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編集後記
牛尾 恭輔
pp.660
発行日 1997年3月25日
Published Date 1997/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105114
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大腸腺腫症に関する最近の新しい研究とその知見には,目を見張らせるものがある.本症における,①上部消化管病変,②Gardner症候群と家族性大腸ポリポーシスの関係,③原因遺伝子(APC gene)の発見,などは,その多くがわが国の研究者によってなされたものである.この特集を読めば,APC遺伝子が通常の大腸腺腫や癌のみならず他臓器の腫瘍の発生と進展にも深く関与していること,また多段階発癌理論のさきがけになったことがよくわかる.
大腸腺腫症という極めてまれな疾患の研究を,いわば小さな井戸を掘るごとく,掘り下げていったら大きな地下水脈に当たったようなもので,広い学問上の進歩をもたらしたのである.
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