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書評「早期胃癌X線診断―撮影法と読影の実戦ノート―ポイント100」
新野 稔
pp.1221
発行日 1997年8月25日
Published Date 1997/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105032
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順天堂大学名誉教授,故白壁彦夫先生の教え子である浜田勉氏による本書は,筆者がこれまで手にした他の実践書に比較しても今までにない充実した内容が盛り込まれている.主題は『早期胃癌の見逃しをいかになくすか-X線写真の撮影法と読影法』である.その内容については後述するが,227頁という手頃な厚さの本にしては驚くべき豊富な事例が含まれている.著者の早期胃癌のX線診断に対する基本的考え方,具体的症例がコンパクトな中に余さず述べられている.
本書を読む場合,読者は具体的内容-本文から読み始められるより,最初は「はじめに」「あとがき」および最終のノート・ポイントである「胃癌の自然史からみた検査の位置づけ」から読まれてはいかがであろうか.そこには著者が本書を執筆するにあたっての基本的考え方や,読み進むうえでの道標とも言うべき事柄が極めて明瞭に述べられており,本書の利用方法とでも言うべきことが述べられている.わが国の胃X線診断は,粘膜法・二重造影法・充盈法・圧迫法,以上4法の組み合わせの中で進展してきたことは読者の先生方には既知のことであろう.特に二重造影法の開発・導入は早期胃癌を発見するための検査体系確立のうえで大きく寄与するものであった.そのような中で本書の著者は,X線検査の特性から次のような考え方を示している.
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