話題
犬の人工胃癌―X線撮影法(3)
山田 達哉
1
,
野口 真利
2
,
市川 平三郎
1
1国立がんセンター
2東京医科歯科大学第1内科
pp.220
発行日 1971年2月25日
Published Date 1971/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111467
- 有料閲覧
- 文献概要
今回を最終回として,これまでに屠殺し病理学的検索の終了している犬4頭についての,病理組織診断とX線診断とを比較しながら一括して述べたいと思う.
表に示したように,病理組織学的にはそれぞれ,胃角前庭部に4病変(未分化型の印環細胞癌1,分化型腺組2,異型上皮1)が,胃上部にも4病変(平滑筋肉腫1,分化型腺癌3)が認められた.4頭の犬には,いずれもNG中止直後より屠殺までにX線撮影を繰返し行なって犬胃癌の発育経過を観察した(観察期間2カ月~19カ月).胃角前庭部では,NG中止直後のX線像でみると,4列共に人の早期胃癌またはその疑いと診断しうる所見を呈していた.そのうち2例では,経過と共にNischeや粘膜集中像が漸次明瞭となり,人のⅡc型に類似した所見を呈してきた.その1例(表の実験例3)X線写真を供覧しよう.また胃上部では,4病変中2病変をX線で確認できたが,そのうちの1例はX線所見はもちろん,肉眼所見からも人のボールマンⅢ型癌に相当していた.もう1例は隆起性病変で,経過と共に病変が増大する様子をX線像から確認することができた.癌と診断したが組織学的には平滑筋肉腫であった.
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.