話題
犬の人工胃癌―X線撮影法(2)
山田 達哉
1
,
野口 真利
2
,
市川 平三郎
1
1国立がんセンター
2東京医科歯科大学第1内科
pp.46
発行日 1971年1月25日
Published Date 1971/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111391
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- 文献概要
前回は,NGを投与して実験的に発生せしめた犬胃癌のX線診断について概説したが,今回は犬胃のX線撮影法を中心に述べてみたいと思う.
まず,絶食せしめておいた犬にネンブタール(0.5ml/kg)を静注して全身麻酔し(当初は気管内麻酔も行なった),さらに,胃腸管の蠕動を抑制する意味でブスコパン0.5mlを筋注する.次いで,経口的に胃管を胃内に挿入し,十分に胃液を吸引した上で,人の胃のX線検査と同濃度のバリウム溶液を胃管を通じて200m1前後注入する.腹臥位にして充盈像を数枚撮影した後,一度バリウムをできる限り吸引してしまう.このようにすると,胃内がバリウムで洗浄されるためか,きれいな二重造影像が得られ易い.次いで,バリウムを新らたに50ml位注入し,さらに空気を150ml位送入する.透視下に十分な観察を行ないながら空気量を調節し,人と同様に体位変換を行ないながら二重造影撮影を行なう,正面,第一および第二斜方向像を撮影する.しかし,斜方向撮影では,殆んど側面にしないと胃下部あるいは前庭部が十分に描写されない場合がある.これらの部位は犬胃癌の好発部位に相当するので,十分に描写しておくことが大切である.人の場合と異なり,撮影方法,撮影体位は一定ではないが,二重造影法が最も容易で,かつ良いX線像が得られるようである.また,そのほかの方法として,腹臥位で前壁撮影を行なったり,あるいは充盈時にフトンによる圧迫撮影を行なうことも可能である.必要により試みるべきであろう.以上述べてきた撮影法をまとめると表のごとくである.
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