--------------------
書評「内科レジデントマニュアル 第5版」
木村 琢磨
1
1国立病院東京医療センター総合診療科
pp.1442
発行日 2000年10月25日
Published Date 2000/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104902
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
最近,誰もがインターネットで最新の医学情報を得ることができるようになり,医師には専門的な知識とともに患者の抱える問題の解決能力が求められている.しかし,研修医が臨床の場に出ると,医学生時代の単純想起型の医学知識とはかなりの乖離があり,患者を前にして何もできないことに気づかされる.それは経験の乏しい医師に問題解決型の知識が不足しているからである.
この度,医学書院より「内科レジデントマニュアル」第5版が上梓された.本書は全39章331頁の本文と医原性疾患,附録の項より成り,日常診療でしばしば遭遇する患者のプロブレムや症候に対する適切なアプローチが,まるで指導医に直接助言を受けているかのように,実践的に編集されている.そして,ベッドサイドで最も重要な重症度や緊急性の判断,何を,どれだけ,どのように,という問題解決に必要な具体的な行動目標が,経時的に簡潔明瞭に記載され,トレーニング中の医師や,プロブレムが明確でない患者を診る機会の多いプライマリ・ケア医にも極めて有用である.また知識,技能のみならず,side memoなどで情報収集,病態生理や鑑別疾患についても言及されている.しかし,初心者はしばしばマニュアルのみを鵜呑みにしてしまうことがあり,日ごろから成書で調べる心がけが必要である.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.