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編集後記
川ロ 実
pp.1450
発行日 2000年10月25日
Published Date 2000/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104904
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今月は「胃カルチノイドー新しい考え方」をお送りする.胃カルチノイドは比較的まれであるが,極めてまれというわけでもない.しかし,実際にカルチノイドに遭遇するとどのような治療法を選択すべきか迷うことがある.本号では胃カルチノイドの概念の変遷,分類の変遷,最新の遺伝子学的知見が紹介されている.臨床的には胃カルチノイドは主として,①A型胃炎に伴うカルチノイド,②MEN-1(multiple endocrine neoplasia type1)およびZ-E(Zollinger-Ellison)症候群に合併するカルチノイド,③高ガストリン血症を伴わない散発性に発生するカルチノイドの3つに分類され,内分泌細胞癌はカルチノイドとは区別されることが明らかになった.
そして,これらの間には生物学的に差異が認められることも示された.したがって,その治療法はX線所見,内視鏡所見,超音波内視鏡所見,組織学的所見,血清ガストリン値などを総合して決められ,従来の外科的切除のみではないことも明らかとなった.しかし,異型度の組織学的鑑別は必ずしも容易ではないことも事実である.
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