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編集後記
大谷 吉秀
pp.1556
発行日 2004年10月25日
Published Date 2004/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104411
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Group分類はこれまでも主題に取り上げられてきた(19巻10号「胃生検の問題点」,29巻2号「胃良・悪性境界病変の生検診断と治療方針」).今回はVienna分類の紹介と既存のGroup分類との対比を念頭に置いて,わが国におけるGroup分類の現状を浮き彫りにすることを目指して,複数の病理医によるプレパラートの評価,臨床医と病理医双方へのアンケート調査結果,座談会など盛りだくさんの情報が大変コンパクトに収載された.
胃癌取扱い規約に掲載されて以来,Group分類は質的診断と併記して用いられ,広く普及した.“わが国と欧米の診断基準の相違を埋めるために提案されたVienna分類は,早期癌の統計や治療成績の国際比較に当たっては利用に値する”(加藤論文)とされる.国際的に認知されるために,共通の理解に基づいた記載方法(カテゴリー分類)が必要なことも事実である.しかしながら,臨床医の立場では,座談会でも述べられているように,all or nothingを示しうる情報伝達の手段のほうが,より簡潔でわかりやすい.IとV,そしてグレーゾーンとしてのIII.これのみで事足りるというのが,患者さんを前にして,インフォームド・コンセントをとる際の臨床医の実感である.これらのギャップについて問題点を明らかにし,読者の方々に関心を持っていただくことが本主題「胃生検診断の意義―Group分類を考える」のねらいである.
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