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編集後記
大谷 吉秀
pp.486
発行日 2001年2月26日
Published Date 2001/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103179
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今回の「胃と腸」増刊号は「消化管癌の深達度診断」をテーマにお届けする.食道から始まり大腸に至る各臓器の深達度診断について,それぞれの分野のエキスパートが熱意を込めて書いておられ,大変読みごたえのある内容となっている.深達度診断は患者さんの治療に直接つながる重要なインフォメーションであり,まさに癌治療を適正に行うために高い精度が求められる.特にリンパ節転移のない癌をいかに診断するかという点には,ここ数年多大な労力が注がれており,EMRや腹腔鏡下の局所切除が容認される理論的根拠になっている.画一的な2群リンパ節郭清を伴う手術に比べ,いろいろ試みられている縮小治療が患者さんのQOLに大きく貢献できていることは,わが国における消化管癌の深達度診断レベルの高さを物語るものと言えよう.
本増刊号では,これまであまり試みられなかった食道,胃,大腸の壁構造の違いを深達度診断にどのように反映するか(比較深達度診断〉について総論で浮き彫りにした.各論・トピックスでは従来法による診断のポイントやいろいろな新しい試みが紹介されている.また,後半には深達度診断の限界とも言える貴重な症例が主題症例として呈示されている.消化器疾患に興味を持つ若い先生から,これまで消化管診断学の基礎を作ってこられたベテランの先生方まで興味を持っていただけたら幸いである.これからも「胃と腸」が,読者の皆様の日夜の診療を通じて,患者さんの幸せに少しでも寄与できることを編集委員の一員として願わずにはいられない.
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