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編集後記
大谷 吉秀
pp.732
発行日 2006年4月24日
Published Date 2006/4/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104320
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消化管内視鏡治療の最前線を網羅する「胃と腸」増刊号をお届けする.内視鏡治療は適切な適応選択と正しい操作により,安全で,低侵襲,機能温存が図れる卓越した治療手段である.内視鏡診断の進歩,機器の開発,手技の工夫による著しい変化は目を見張るものがあり,今日では内視鏡治療が日常的に行われている消化性潰瘍や静脈瘤の止血術も,かつては手術が第一選択として行われていた時代があったことを知る若い内視鏡医は少ないと思われる.特に最近10年間に,内視鏡の解像度,操作性の向上,処置具の開発や電気メスなどの周辺機器の改良などが図られ,広い意味では医学と工学の有機的な融合が,人類の幸福に貢献している証と言える.
増刊号として,初心者からベテランの先生方まで参考にしていただけるように企画を工夫した.総論では,内視鏡治療を行ううえで求められる基本的事項として,インフォームドコンセント,セデーション,切除標本の取り扱いなど,そして各論では,早期癌に対する粘膜切除,拡張術,ステント,イレウス管挿入,潰瘍や静脈瘤に対する止血,異物除去,胃瘻造設術,逆流性食道炎に対する内視鏡治療まで系統的に網羅した.もちろん,偶発症対策についても詳しく記載されている.これほどまとまった消化管内視鏡治療に関する特集号は初めてで,1冊の本として十分匹敵する内容である.日常診療の現場で大いに役立つことを確信している.また,将来に向けた新たな内視鏡治療の開発につながるアイデアも随所に触れられている.執筆に関わられた先生方の熱意と労力に心から感謝する次第である.
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