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編集後記
牛尾 恭輔
pp.1202
発行日 2004年7月25日
Published Date 2004/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104261
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家族性大腸腺腫症(FAP)の随伴病変に関する研究で,わが国が果した役割は大きく,その後の遺伝子型-表現型相関の研究に大きな影響を与えた.ところで最近,FAPに新たな展開が生じてきた.まず,これまで腫瘍とは認知されてこなかった胃底腺ポリープに,少なからず異型を伴うことが明らかにされ,癌化した症例も報告されている.次に大腸腺腫の数が100個未満にとどまるAFAP(attenuated familial adenomatous polyposis)の発生原因として,酸化DNA障害の除去修復機構に関与するMYH遺伝子の変異が指摘されてきた.しかもその場合,常染色体劣性遺伝であるという最近の報告には驚かされる.今後,多発性大腸腺腫の分類と取り扱いにも,新たな視点が必要であろう.また本号は形態診断と遺伝子診断との融合が見て取れる.それとともに,学問の底知れぬ深遠さも覚える.
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